不正競争防止法
不正競争防止法とは、企業間の競争が公正で健全であることを保証するための法律です。
この法律は、企業が他社のビジネスを不公正な方法で妨げる行為を禁止しています。
具体的には以下のようなものが該当します。
- 他社の著名な表示を模倣して混同を招く行為：他社の有名な商品やサービスの表示（ロゴやブランド名など）を真似て使用し、顧客が混乱するような行為。
- 他社の有名な表示を自社の商品やサービスに使用する行為：他社の知名度の高い表示を、自社の商品やサービスに無断で利用すること。
- 他社の商品デザインの模倣：他社の商品の形状やデザインを真似た製品を作成し、販売する行為。
- 営業秘密の不正取得・使用・開示：他社の営業秘密を盗んだり、不正な手段で入手し、それを利用したり、他人に漏らしたりする行為。
- 限定提供データの不正取得・使用・開示：他社の限定提供データを盗んだり、不正な手段で入手し、それを利用したり、他人に漏らしたりする行為。
- コンテンツ保護解除装置やプログラムの提供：著作権で保護されたコンテンツのコピープロテクトを解除するための装置やプログラムを提供する行為。
- 他社のドメイン名を模倣して利益を得る行為：他社の商品やサービスに似たドメイン名を使用し、それを利用して利益を得る行為。
- 誤解を招く表示をする行為：商品やサービスに関して、原産地や品質について虚偽または誤解を招くような情報を表示する行為。
- 他社の信用を害する虚偽の事実の告知や流布：競合他社に関する虚偽の情報を広め、その信用を傷つける行為。
- 代理人による商標権の不正使用：商標権を持つ企業の代理人が、正当な理由なくその商標を使用する行為。
続いて、不正競争防止法の保護の対象となる営業秘密（上記4）と限定提供データ（上記5）について詳しく説明します。
営業秘密
不正競争防止法の保護の対象となる営業秘密とは、企業の競争力を維持するために保護すべき重要な情報のことを指します。
例えば、製品の製造方法、研究開発の成果、顧客リスト、販売戦略などが含まれます。
営業秘密として法的に保護されるためには、以下の三つの要件を満たす必要があります。
- 秘密管理性：企業がその情報を秘密として保持するための適切な措置を講じていること。たとえば、秘密保持契約の締結や情報へのアクセス制限などが行われていることが求められます。
- 有用性：その情報が秘密であることによって商業的な価値があること。つまり、競合他社がその情報を知らないことでビジネス上の利点があると認識されることが必要です。
- 非公知性：情報が公に知られていないこと。つまり、公開されていない独自の情報であることが求められます。
これらの要件を満たす情報は営業秘密として保護され、他社によるその情報の盗用や漏洩が禁止されます。
このようにして、不正競争防止法は公正なビジネス競争を促進し、企業の創造性と革新性を保護する役割を果たしています。
限定提供データ
不正競争防止法の保護の対象となる限定提供データとは、企業間で提供・共有されることで、新たな事業の創出につながったり、サービスや製品の付加価値を高めるなど、その利活用が期待されているデータのことを指し、不正競争防止法の保護の対象となります。
具体的には、ビッグデータ等を念頭に、商品として広く提供されるデータやコンソーシアム内※で共有されるデータなど、事業者等が取引等を通じて第三者に提供する情報が該当します。
例えば、携帯電話の位置情報から収集した人流データ、自動走行用地図データ、POSシステムで収集した商品ごとの売上げデータなどが含まれます。
限定提供データとして認められるには、以下の条件を満たす必要があります。
- 特定の利用者に限定して提供する情報であること（限定提供性）
- 電磁的方法により相当量蓄積されていること（相当蓄積性）
- 電磁的方法により管理されていること（電磁的管理性）
- 技術上または営業上の情報であること
- 秘密の情報として管理されていないこと
- 無償で公衆に利用可能になっている情報と同一ではないこと
営業秘密と限定提供データの違いを一言で分かりやすく言うと、企業にとって、
営業秘密とは、秘密にすることによってメリットがある情報です。一方、限定提供データは、対価を払った人や企業に限定して提供することでメリットがある情報です。
よって、盗んだり、不正な手段で入手したりすることから保護されています。