労働関連・取引関連法規② 派遣契約・請負契約

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労働者派遣契約

労働者派遣契約とは、労働者派遣会社(派遣元企業)が労働者(派遣労働者)を他の企業(派遣先企業)に派遣し、その指揮命令の下で労働をさせる形態の労働契約です。

派遣労働者は、派遣元企業との間で雇用関係が成立していますが、実際の労働は派遣先企業の下で行います。

労働者派遣法は、このような労働者派遣を規定した法律で、派遣労働者の権利と待遇の保護、派遣事業の適正な運営を目的としています。

具体的には以下のような内容が含まれています。

  • 派遣元企業は、派遣労働者に対して、派遣先企業での労働条件や待遇、派遣期間などを明示する義務があります。
  • 同一組織への派遣期間は原則3年を上限とすることが定められています。
  • 派遣労働者を、さらに別の会社に派遣することは禁止されています。(二重派遣の禁止
  • 派遣先企業は派遣労働者を事前面接などで選ぶことはできません。
  • 派遣元企業は、派遣労働者との雇用期間が終了した後、派遣先企業に雇用されることを妨げることはできません。(派遣労働者は派遣先企業に就職してもよい。)
  • 派遣元企業は、派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置を講じなくてはなりません。
  • 派遣元企業は、各人の希望、能力及び経験に応じた就業の機会及び教育訓練の機会の確保などの措置を講じることで、派遣労働者の福祉の増進を図るように努めなければなりません。
  • 派遣元企業は、派遣労働者を雇い入れようとする場合に給与や勤務時間を明示しなければなりません。
  • 派遣先企業は、派遣先責任者を選任し、管理台帳の作成・苦情処理・連絡調整といった管理業務を行うことが義務づけられています。
  • 建設業務・警備業務・医療関係業務など、労働者派遣事業を行うことができない業務があります。
  • 派遣先企業は離職して1年以内の派遣労働者を再び派遣労働者として受け入れることはできません。(これは、本来直接雇用とすべき労働者を派遣労働者とすることで、労働条件が切り下げられてしまう可能性があるためです)

紹介予定派遣

紹介予定派遣とは、派遣先企業が派遣労働者を一定期間後に直接雇用することを前提とした派遣形態です。

これは、派遣先企業が直接雇用を検討している労働者のスキルや適性を確認するための一種の試用期間とも言えます。

紹介予定派遣においても労働者派遣法の規定に基づき、派遣元企業は派遣労働者に対して、派遣先企業での労働条件や待遇、そして直接雇用の可能性について明示する義務があります。

紹介予定派遣の目的は、最終的に派遣先企業が派遣労働者を直接雇用することにあるため、その期間や条件については派遣元と派遣先、派遣労働者全てが明確に理解していることが重要となります。そのため、紹介予定派遣の場合は事前面接等も認められます。

請負契約

請負契約とは、ある事業者(請負先)が発注元である他の事業者(請負元)から仕事を受け、その結果を納めることを約束する契約のことを指します。

請負契約では、請負先が自己の責任で仕事を行い、その結果を請負元に提供します。これは、請負元が請負先の作業過程に対して指揮命令をする関係ではなく、結果のみを求める関係となります。つまり、請負元が請負先の労働者に直接指示を出すことはできません。

契約不適合責任

そして、請負契約では「契約不適合責任」という概念が重要となります。

契約不適合責任とは、請負先が発注者に対して負う責任のことで、商品やサービスに不備があった場合に適用されます。

具体的には、商品の品質不良、品物違い、数量不足、または請け負った仕事の内容に不備があった場合などです。

契約不適合責任によって負担される内容には、修補や代替品納入、損害賠償、代金減額、契約解除などが含まれます。これにより、発注者の利益が保護されることを目指しています。

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