ソフトウェア③ その他のソフトウェア

目次

BIOS

BIOS(Basic Input/Output System)は、コンピュータが起動するときに最初に動作するソフトウェアで、ハードウェアを初期化し、オペレーティングシステム(OS)を起動する役割を持っています。

これにより、コンピュータの基本的な入出力を制御し、ハードウェアとOSが通信できるようになります。

BIOS画面(一例)

BIOSは、マザーボード上にあるROMチップに格納されており、ハードウェア構成情報、デバイス設定、システム時刻、ブートデバイスの選択などの基本的な情報を保持しています。BIOSは、オペレーティングシステムやアプリケーションソフトウェアがハードウェアにアクセスする際に必要なインタフェースを提供し、またシステムのセキュリティにも関与しています。

BIOSは、ハードウェアの種類やメーカーによって異なるため、コンピュータのマニュアルやメーカーのWebサイトなどで情報を確認する必要があります。

また、UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)は、BIOSの後継となる技術で、BIOSよりも高度な機能を提供します。UEFIは、より大容量の記憶領域に対応でき、セキュリティ機能が強化されているほか、グラフィカルなインターフェイスを提供できるなど、現代のコンピュータシステムに適した機能を備えています。

UEFI画面(一例)
ファームウェア

ファームウェア(firmware)は、ハードウェアを制御するためのソフトウェアの一種で、通常はそのハードウェアに直接書き込まれています。

コンピュータのBIOSやUEFI、組込みシステムのオペレーティングシステム、プリンター、ルーターなどの内部ソフトウェアがファームウェアの例です。

これらのデバイスは、パワーオン時にファームウェアをロードして基本的な制御を行います。

ファームウェアは一般的にはユーザーによる変更が困難で、更新もメーカーから提供される専用の更新プログラムを使用します。これにより、ハードウェアの基本的な機能を安定して提供することが可能となります。

※ファームウェアのファーム(firm)とは、「硬い」「堅固な」「しっかりした」「強硬な」などの意味がある英単語です。

ミドルウェア

ミドルウェアとは、コンピュータシステム上で動作するソフトウェアで、アプリケーションソフトウェアとオペレーティングシステムの間に位置するものを指します。

すなわちミドル(中間)とはOSとアプリケーションの中間という意味です。

異なるシステムやアプリケーション群に共通の機能を提供したり、複数のアプリケーション間の通信やデータ交換を助ける役割を果たします。

主な機能としては、データの変換、通信の管理、トランザクション処理などがあり、例えば、データベース管理システム(DBMS)やWebサーバー、仮想化ソフト、Java仮想マシンなどがミドルウェアに分類されます。

ミドルウェアにより、開発者は異なるシステムやネットワーク上のアプリケーション間の連携をOSに直接アクセスすることなく簡単かつ効率的に行えるようになります。

ミドルウェアは、企業のシステム統合や大規模な分散システムの構築において、重要な要素となっています。

オフィスツール

オフィスツールとは、主に職場や学校などで使用されるソフトウェアのセットで、文書作成、表計算、プレゼンテーション作成、メール管理などの業務を効率的に行うための機能を提供します。

代表的なオフィスツールには、Microsoft Office(Word、Excel、PowerPointなど)、Google Workspace(Google Docs、Sheets、Slidesなど)、AppleのiWork(Pages、Numbers、Keynoteなど)があります。

これらのツールは、文書の作成・編集、データの整理・分析、情報の視覚的なプレゼンテーション、コミュニケーションの管理など、日常的なオフィス作業を支援するために広く使われています。

オフィスツールは使いやすさ、多機能性、相互運用性を備えており、ビジネス環境だけでなく教育や個人使用の分野でも活用されています。また、これらのツールはクラウドベースのサービスとして提供されることが多く、リモートアクセスやチーム間での共同作業を容易にしています。

文書作成ソフト

文章作成ソフトは、レポート、手紙、文書などを作成し、編集するためのコンピュータープログラムです。Microsoft WordやGoogle Docsが代表例です。これらのソフトはテキストの入力や編集、書式設定、画像の挿入など、文書作成に必要な多くの機能を提供します。

文章作成ソフトの主な機能には以下のものがあります。

  1. インデント:インデントは、段落の始めやリストの各項目など、テキストの一部を左右にずらす機能です。これにより、文書内の構造が明確になり、情報の階層化や強調が容易になります。
  2. 大文字自動変換:特定の文字や単語を自動的に大文字に変換します。例えば、文の最初の文字や見出しを大文字にするのに便利です。これにより、文書のフォーマットを一貫させ、読みやすくします。
  3. 均等割り付け:異なる文字数の単語を指定した幅でそろえることができます。これにより、文書のレイアウトが整い、視覚的にバランスの取れた外観になります。
  4. 禁則処理:行の折り返し時などに、行末や行頭にくるべきではない文字(例えば、句読点や括弧など)が適切な位置に来るように自動調整する機能です。読みやすい文書を作るために重要です。

これらの機能は、文書をより専門的で読みやすくするために文書作成ソフトに備わっています。

フォントの選択

表示や印刷時のフォントは、テキストの見た目を決定する重要な要素であり、文書やデザインの印象に大きく影響します。フォントにはさまざまな種類があり、それぞれ異なる特徴と用途があります。

アウトラインフォント文字をベクトル形式で定義するフォントです。これにより、文字はどんなサイズに拡大・縮小しても、品質を損なうことなく鮮明に表示することができます。アウトラインフォントは、曲線や直線の数学的な方程式に基づいており、プリンターやディスプレイの解像度に依存しません。代表的な例としては、TrueTypeフォントやOpenTypeフォントがあります。
ビットマップフォント文字をピクセルの集まりとして定義するフォントです。各文字は特定のサイズと解像度で設計されており、拡大や縮小を行うと画質が低下する可能性があります。ビットマップフォントは、主に画面表示用に設計され、特定のサイズで非常に鮮明に表示されますが、サイズ変更の柔軟性に欠けます。古いコンピュータシステムやディスプレイで一般的に使用されていたフォントです。
等幅フォント全ての文字が同じ幅を持つフォントです。これにより、文字列が縦に揃い、テキストベースのレイアウトで整った見た目を実現できます。プログラミングやコードエディタ、タイプライターでよく使用されます。等幅フォントは、表やコードの整形に適しているため、技術的な文書やコーディングに好まれます。一般的な例としては、Courierフォントが挙げられます。
プロポーショナルフォント各文字が異なる幅を持つフォントです。例えば、「i」は「m」よりも狭く、「空白」は文字よりも狭い場合が多いです。このタイプのフォントは、自然なテキストの読みやすさを向上させ、実際の手書き文字や印刷された文書に近い見た目を提供します。プロポーショナルフォントは、一般的な文章の作成やウェブページのデザインに広く使用されています。代表的な例には、ArialやTimes New Romanがあります。

以上のように、それぞれのフォント種類は特定の目的や文脈に適しており、文書やデザインに適切に使用することで、望ましい視覚的効果を得ることができます。

オープンソースソフトウェア

オープンソースソフトウェア(OSS:Open Source Software)とは、ソースコードが公開されており、誰でも自由に修正や再配布ができるソフトウェアのことを言います。

一般的には無償で提供され、多くの場合、コミュニティによって開発や改善が行われています。

オープンソースソフトウェアは、利用者にとって柔軟性やセキュリティの向上、また、開発者にとってもコードの共有や再利用が可能となるなど、多くのメリットがあります。

オープンソースソフトウェアには以下のような特徴があります。

  1. 自由な再配布ができること
  2. 無償(または妥当なコスト)でソースコードを入手できること
  3. 派生物が存在でき、派生物に同じライセンスを適用できること
  4. 作成者のオリジナルコードの完全性
  5. 個人やグループに対する差別の禁止
  6. 利用する分野に対する差別の禁止
  7. 再配布において追加ライセンスを必要としないこと
  8. 特定製品でのみ有効なライセンスの禁止
  9. 他のソフトウェアを制限するライセンスの禁止
  10. ライセンスは技術的中立的でなければならない

※米国の公益法人Open Source Initiative (OSI)が策定した「オープンソースの定義」(Open Source Definition: OSD)より

また、オープンソースソフトウェアの誤解しやすい特徴として以下のようなものがあります。

  • 著作権は放棄されていません
  • 再配布する際には、有料にすることができ、必ずしも無料にする必要はありません
  • 製品によっては、企業の社員が業務として開発している場合があります

以下に、代表的なオープンソースソフトウェアを挙げます。

OS

Linux最も知名度が高いオープンソースのオペレーティングシステムで、サーバーや組み込みシステムなどに広く利用されています。
Androidスマートフォンやタブレット向けのオープンソースオペレーティングシステムで、Googleが開発しています。アプリの開発にはJavaやKotlinなどの言語が使われ、そのアプリはGoogle Play Storeからダウンロードできます。
FreeBSD高性能で堅牢なUNIX系のオペレーティングシステムで、特にサーバー用途に適しています。このOSはネットワーク、セキュリティ性能に優れており、多くのインターネットサービスプロバイダや大規模なデータセンターで使用されています。

オフィスツール

LibreOfficeオフィススイート(オフィス業務用ソフトウェアのセット)で、文書作成、スプレッドシート、プレゼンテーションなどに利用されます。

Webサーバ

Apache HTTP ServerWebサーバーソフトウェアで、インターネット上のWebサイトを公開するために使用されます。

Webブラウザ

FirefoxMozilla Foundationによって開発されているウェブブラウザです。そのプラグインアーキテクチャにより、開発者はブラウザの機能を拡張するためのアドオンを作成することができます。

電子メール

ThunderbirdFirefoxと同じくMozilla Foundationによって開発されている電子メールクライアントです。POP、IMAPプロトコルをサポートし、迷惑メールフィルター、カレンダー機能などを備えています。

データベース管理システム(DBMS)

MySQLデータベース管理システム(DBMS)で、Webアプリケーションなどのデータ管理に広く利用されています。
PostgreSQLリレーショナルデータベース管理システム(DBMS)です。トランザクションとACID(Atomicity, Consistency, Isolation, Durability)準拠、複雑なクエリ、外部キー、トリガー、ビュー、ストアドプロシージャなどの高度な機能を提供しています。

ファイル共有

SambaWindowsのファイルやプリンタ共有サービス(SMB/CIFS)を実装するソフトウェアです。UNIXやLinuxのサーバーを使って、Windowsのクライアントとファイルやプリンタを共有することができます。

プログラミング言語

Python汎用の高水準プログラミング言語で、Web開発、データ分析、AI開発などに利用されています。

その他

WordPressウェブサイト作成ツールで、ブログやビジネスサイト、オンラインショップなどの構築に利用されています。
Blender3Dグラフィックス作成ソフトウェアで、映像制作やゲーム開発などに利用されています。
VLC Media Player多機能なメディアプレーヤーで、様々な形式の動画や音楽ファイルの再生に使われています。
GIMP画像編集ソフトウェアで、Photoshopの無料かつオープンソースの代替品として知られています。
Gitバージョン管理システムで、複数人でのソフトウェア開発に必要不可欠なツールです。
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