第4次産業革命
第4次産業革命とは、現在進行中の社会や経済の変革を指します。
第1次から3次までの産業革命の概要は以下の通りです。
第1次産業革命(インダストリー1.0)
18世紀(1701~1800年まで)後半にイギリスで始まりました。蒸気機関の発明と工場制度の導入が特徴です。
織物産業を中心に手作業から機械生産への移行が進み、労働生産性の向上や都市化が進みました。
- 織機など、軽工業の機械の動力に蒸気エネルギーを利用することによって、人手による作業に比べて生産性を高める。(令和5年)
- 蒸気機関という動力を獲得したことによる、軽工業における、手作業による製品の生産から、工場制機械工業による生産への移行(令和4年)
第2次産業革命(インダストリー2.0)
19世紀後半から20世紀初頭にかけて主に欧米で起こりました。
電気の利用、石油を動力源とする内燃機関、化学工業、鉄道などが急速に発展し、大量生産・大量消費の時代が到来しました。
この時代には、自動車や電話などの新しい技術が普及し、産業構造や社会生活が大きく変化しました。
特に、ベルトコンベアの導入により、生産効率が飛躍的に向上し、フォードの自動車生産ラインがその象徴となりました。
- 工場においてベルトコンベアを利用した生産ラインを構築することによって、工業製品の大量生産を行う。 (令和5年)
- 動力の電力や石油への移行とともに、統計的手法を使った科学的生産管理による、同一規格の製品のベルトコンベア方式での大量生産(令和4年)
第3次産業革命(インダストリー3.0)
20世紀後半に始まった第三次産業革命は、情報通信技術(ICT)の飛躍的な発展が特徴です。
コンピュータやインターネットの普及により、情報の収集、分析、共有が劇的に簡単になりました。
さらに、産業用ロボットの導入やコンピュータ制御による自動化技術の進展により、生産プロセスが大幅に効率化されました。
この結果、知識産業やサービス産業が急成長し、経済と社会のグローバル化が一層進展しました。
- エレクトロニクスを活用した産業用ロボットを工場に導入することによって、生産の自動化と人件費の抑制を行う。(令和5年)
- 製造工程のコンピュータ制御に基づく自動化による、大量生産品の更なる低コストでの製造(令和4年)
第4次産業革命(インダストリー4.0)
第4次産業革命は、インターネット、人工知能(AI)、IoT(インターネットオブシングス)、ビッグデータ、ロボティクスといった先端技術が急激に進化している現代の流れを示しています。これらの技術の発展は、産業や社会、経済全体に大きな変革をもたらし、私たちの生活や働き方に影響を与えています。
こうした技術革新により、以下のような変革が起こると言われています。
- 大量生産・画一的サービス提供から個々にカスタマイズされた生産・サービスの提供
- 既に存在している資源・資産の効率的な活用
- AIやロボットによる、従来人間によって行われていた労働の補助・代替
第4次産業革命は、従来の産業やビジネスモデルに変革をもたらし、新しい産業や働き方が生まれることが期待されています。
また、これらの技術を活用することで、エネルギーや環境問題などの社会課題に対しても効果的な解決策が見つかる可能性があります。
第4次産業革命は、産業の枠を超えたイノベーションを促進し、持続可能でより豊かな社会を目指すきっかけとなると考えられています。
- 医療やインフラ、交通システムなどの生活における様々な領域で、インターネットやAIを活用して、サービスの自動化と質の向上を図る。(令和5年)
- 顧客ごとに異なる個別仕様の製品の、多様なITによるコスト低減と短納期での提供(令和4年)
超スマート社会(Society5.0)
Society5.0とは、日本が目指すべき未来社会の姿として内閣府が提唱した概念であり、2016年に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」では以下のように定義しています。
サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)
内閣府ホームページ「Society 5.0」
これは、IoT、AIなど第4次産業革命の技術を活用して人々のニーズに応じた最適なサービスを提供する次世代社会のビジョンであり、経済発展と社会的課題の解決を同時に実現し、持続可能な社会の実現を目指すものです。
Society5.0では、ICT技術やデータ活用により、あらゆる産業や社会インフラが最適化され、より便利で快適な暮らしが実現されることが期待されています。
超スマート社会は「狩猟社会(Society 1.0)」「農耕社会(Society 2.0)」「工業社会(Society 3.0)」「情報社会(Society 4.0)」に続く人間中心の社会ということでSociety5.0とも呼ばれています。
SDGs
SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。
これは、2015年に国連で採択された2030年までの国際的な共通目標であり、全世界の課題を解決するための17のゴール(目標)と169の具体的なターゲットからなっています。
具体的には、貧困や飢餓の撲滅、健康・教育の向上、ジェンダー平等、持続可能なエネルギー、気候変動の対策など、さまざまな分野の課題を網羅しています。
世界中の国々が、経済的、社会的、環境的に持続可能な発展を実現するための行動計画として、これらの目標に取り組んでいます。
SDGsの「Sustainable」は、英語で「持続可能な」という意味があり、現在の生活や経済活動が将来の世代にも継続して行えるような方法で行われるべきであるという考え方を表しています。
つまり、現在の人々の生活や経済の成長を守りつつ、将来の世代が同じように良い生活を送ることができるようにするためのバランスの取り方を意識した行動や取り組みを強調しています。
これは環境、経済、社会の三つの側面からの持続可能性を考慮することを意味します。
関連用語
デジタルトランスフォーメーション(DX)は、企業がデジタル技術を活用して業務プロセス、顧客体験、ビジネスモデルを変革することを指します。
DXは、組織のデジタル化、データ活用、自動化、AIやIoTなどの先進技術の導入を通じて、企業の競争力を強化し、効率性を向上させ、顧客満足度を高めることを目指しています。
以下はデジタルトランスフォーメーションの具体例です。
- 小売業:モバイルアプリを導入し、顧客は商品の検索、購入、支払いをスマートフォンで行えるようにする。
- 医療業界:電子カルテシステムを導入し、患者情報のデジタル化と共有を実現し、医療スタッフの効率を向上させる。
- 医療業界: 遠隔診療サービスを導入し、患者が自宅から医療サービスを受けられるようにする。
- 製造業:IoT(モノのインターネット)を活用して、製造工程のモニタリングや機器の予防保全を実施し、生産性と品質を向上させる。
- 銀行業界:オンラインバンキングやモバイル決済を提供し、顧客は自宅やスマートフォンから銀行取引を行えるようにする。
- 教育業界:オンライン学習プラットフォームや遠隔授業ツールを導入し、学生はインターネットを通じて教育コンテンツにアクセスし、柔軟な学習が可能となる。
これらは一部の例であり、デジタルトランスフォーメーションは業界や企業によって異なる具体的な取り組みが行われています。