取引関連法規
製造物責任法
製造物責任法(PL法:Product Liability)は、製品の欠陥によって人の生命、身体又は財産に被害を被ったことを証明した場合に、被害者は製造業者等に対して損害賠償を求めることができるとする法律です。
欠陥とは、一般的に、①設計上の欠陥、②製造上の欠陥、➂指示・警告上の欠陥の3つに分類されます。よって、製造業者は、その製品に安全な設計や製造過程が適用され、適切な警告が行われていることを確認する責任を負っています。
製造物責任法が適用されるには、以下の条件を満たす必要があります。
- 製造業者等が製品を自ら引き渡したこと。(製品の流通後、第三者によって修理・加工・改造等された場合には適用されません)
- 製造物に欠陥があったこと。
- 発生した損害と欠陥との間に因果関係が存在すること。
下請法
下請法(下請代金支払遅延等防止法)は、親事業者と下請け業者との間の取引が公正に行われること目的とした法律です。
下請法は、下請け業者に対する適正な価格の支払い、契約条件の公正な変更、仕事の適正な発注などを親事業者に義務付けています。これにより、下請け業者の経済的な保護と、供給チェーン全体の公正な運営を促進しています。
この法律では、親事業者には次の4つの義務が課されています。
書面の交付義務 | 発注の際は、直ちに3条書面を交付すること。 ※3条書面とは発注に際して記載すべき具体的記載事項(委託の内容・受領期日など)が記載された書面のこと。 |
支払期日を定める義務 | 成果物に対する検査の有無に関わらず、下請代金の支払期日を成果物等の受領後60日以内に定めること。 |
書類の作成・保存義務 | 下請取引の内容を記載した書類を作成し、2年間保存すること。 |
遅延利息の支払義務 | 支払が遅延した場合は遅延利息を支払うこと。 |
特定商取引法
特定商取引に関する法律(特定商取引法、特商法)は、消費者保護を目的とした法律で、特定の商取引における不公正な取引行為を規制しています。
これには、インターネットショッピング、通信販売、訪問販売などのトラブルが生じやすい取引が含まれます。
特定商取引法では、以下のような規制が設けられています。
氏名等の明示の義務付け | 特定商取引法は、事業者に対して、勧誘開始前に事業者名や勧誘目的であることなどを消費者に告げるように義務付けています。 |
不当な勧誘行為の禁止 | 特定商取引法は、価格・支払条件等についての不実告知(虚偽の説明)又は故意に告知しないことを禁止したり、消費者を威迫して困惑させたりする勧誘行為を禁止しています。 |
虚偽・誇大広告の禁止 | 特定商取引法は、事業者が広告をする際には、重要事項を表示することを義務付け、また、虚偽・誇大な広告を禁止しています。 |
書面交付義務 | 特定商取引法は、契約締結時等に、重要事項を記載した書面を交付することを事業者に義務付けています。 |
クーリング・オフ制度 の適用 | 特定商取引法は、「クーリング・オフ(英語:cooling-off period)」を認めています。クーリング・オフとは、契約の申込み又は締結の後に、法律で決められた書面を受け取ってから一定の期間内※に、無条件で解約することです。 ※訪問販売・電話勧誘販売・特定継続的役務提供・訪問購入においては8日以内、連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引においては20日以内。 ※なお、通信販売にはクーリング・オフに関する規定はありません。これは、通信販売は広告を見た消費者が自らの意思で申し込むもので、不意打ち的に契約を迫られるといった状況にはならない為、クーリング・オフはできないとされています。 |
リサイクル法
リサイクル法は、廃棄物の量を減らし、リソース(資源)の有効利用を促進することを目的とする法律です。
これには、特定の製品についてリサイクルを義務づけたり、リサイクル可能な材料の使用を促進するための指針を設けたりすることが含まれます。
例えば、日本では家電リサイクル法があり、特定の家電製品(テレビやエアコンなど)のリサイクルを製造業者に義務づけています。
その他、対象品目ごとに、パソコンリサイクル法・容器包装リサイクル法・食品リサイクル法などがあります。
資金決済法
「資金決済に関する法律」、通称「資金決済法」は、前払式支払手段、資金移動業、そして暗号資産交換業を規制する法律です。
これらのサービスを提供する業者に対し、適切な情報開示や顧客資金の安全な管理、業務の適正な運営などを求めています。
資金決済法に基づき、これらのサービスを提供する業者は登録制となっており、金融庁に登録を行う必要があります。
前払式支払手段とは、商品やサービスを利用する前に、あらかじめ支払いを済ませておく決済方法のことです。この方式では、利用者は使用する前に特定の金額を支払手段にチャージ(入金)し、後でその残高を利用して商品やサービスの代金を支払います。
前払式支払手段の例としては、紙型の商品券・ギフト券、磁気型のプリペイドカード(Quoカードなど)、決済用ICカード、モバイル決済、QRコード決済、そしてサーバ上で管理されるギフトカード(Amazonギフトカードなど)などが挙げられます。
※ただし、有効期間が6ヶ月未満の支払手段はこの法律の適用対象から除外されます。
具体的には、次の4つの要件が全て備わっているものが該当します。
- 金額又は物品・サービスの数量(個数、本数、度数等)が、証票、電子機器その他の物(証票等)に記載され、又は電磁的な方法で記録されていること。
- 証票等に記載され、又は電磁的な方法で記録されている金額又は物品・サービスの数量に応ずる対価が支払われていること。
- 金額又は物品・サービスの数量が記載され、又は電磁的な方法で記録されている証票等や、これらの財産的価値と結びついた番号、記号その他の符号が発行されること。
- 物品を購入するとき、サービスの提供を受けるとき等に、証票等や番号、記号その他の符号が、提示、交付、通知その他の方法により使用できるものであること。
※2の規定より、商品を購入した際に付与されるポイント等は相当する対価が支払われていないので、前払式支払手段に該当しません。
金融商品取引法
金融商品取引法は、証券取引やデリバティブ取引など、金融商品取引全般に関する法律で、投資家保護と金融市場の公正性・透明性の確保を目的としています。
この法律では、不公正な取引行為(例えばインサイダー取引や市場操作)の禁止、企業の重要な情報(金融商品に関連する情報)の公開義務、証券会社などの金融業者に対する規制などが定められています。