バックアップ
バックアップとは、重要なデータや情報を予期せぬトラブルや損失から保護するために、別の場所や記憶媒体にコピーを作成することです。
バックアップを取ることで、データや情報の復旧ができ、業務の継続性を確保することができます。
バックアップは、データベースやファイルサーバー、Webサイトなど、様々なシステムで用いられています。
バックアップ方法
データのバックアップには、フルバックアップ、差分バックアップ、増分バックアップの3つの主要な方法があります。
これらのバックアップ方法は、データの保存、リストア(復元)の速度、そしてストレージ領域の効率的な使用のバランスをどのように取るかによって使い分けられます。
フルバックアップ
これは最もシンプルかつ総合的なバックアップ方法で、すべてのファイルとディレクトリを完全にコピーします。
この方法のメリットは、すべての情報が一箇所に保存されているため、データのリストアが速く、簡単であるという点です。
ただし、その反面、ストレージスペースを最も多く消費し、一回のバックアップに時間がかかるというデメリットもあります。
以下の例は月曜日から木曜日までの日々のデータの増え方と、それに対するバックアップ方法です。フルバックアップは文字通り全てのデータを保存します。
差分バックアップ
この方法は、前回のフルバックアップ以降に変更または新規作成されたすべてのファイルをバックアップします。
これにより、フルバックアップよりも時間とストレージスペースを節約することが可能です。
ただし、リストアする際には、最後のフルバックアップと最新の差分バックアップの両方が必要となるため、リストアには時間がかかります。
以下の例は月曜日から木曜日までの日々のデータの増え方と、それに対するバックアップ方法です。差分バックアップはフルバックアップと組み合わせて使用し、前回のフルバックアップとの差分データを日々保存します。
増分バックアップ
この方法は、前回のバックアップ(フルバックアップまたは増分バックアップ)以降に変更または新規作成されたファイルのみをバックアップします。
増分バックアップはストレージスペースを最も効率的に使用しますが、リストアには最も時間がかかります。
なぜなら、リストアするためには最後のフルバックアップとすべての増分バックアップが必要となるからです。
以下の例は月曜日から木曜日までの日々のデータの増え方と、それに対するバックアップ方法です。増分バックアップはフルバックアップと組み合わせて使用し、前回バックアップからの増分データを日々保存します。
差分バックアップと増分バックアップは混同しがちですが、判別するには以下の点に着目すると良いでしょう。
差分バックアップは、前回のフルバックアップ時点との差分です。
増分バックアップは、一つ前のフルバックアップまたは増分バックアップからの増分です。
復元方法
各バックアップの復元方法について簡単に説明します。
フルバックアップからの復元方法
フルバックアップの場合、復元は非常に簡単です。なぜなら、フルバックアップはすべてのデータを完全にコピーしているからです。
したがって、フルバックアップからデータを復元するときは、単純にフルバックアップデータを指定した場所にコピーすればよいのです。
以下の例は木曜日のデータの復元方法です。フルバックアップは木曜日のデータを丸ごと保存しているので、そのままそっくり復元することが可能です。
差分バックアップからの復元方法
差分バックアップを復元するには、まず最後に行われたフルバックアップからデータを復元します。
次に、そのフルバックアップ以降に作成された最新の差分バックアップを適用します。
これにより、フルバックアップ時点から最新の差分バックアップを行った時点までのデータが復元されます。
以下の例は木曜日のデータの復元方法です。差分バックアップはフルバックアップと木曜日に取得した最新の差分バックアップを用いて復元します。
増分バックアップからの復元方法
増分バックアップの復元は最も複雑です。
まず、最後に行われたフルバックアップからデータを復元します。
次に、そのフルバックアップ以降に作成されたすべての増分バックアップを、作成された順番に適用します。つまり、最初の増分バックアップから最新の増分バックアップまで、すべてを適用しなければなりません。
これにより、フルバックアップ時点から最新の増分バックアップを行った時点までのデータが復元されます。
以下の例は木曜日のデータの復元方法です。増分バックアップは前回のフルバックアップと木曜日までの全ての増分バックアップを用いて復元します。
バックアップ時間と復旧時間の関係
以上をまとめると、バックアップ時間と復旧時間の関係は次の表のようになります。