労働関連・取引関連法規① 労働関連法規

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労働関連法規

労働関連法規は、労働者の権利を保護し、労働条件を規制するための法律体系です。

これには最低賃金、労働時間、雇用契約、安全衛生などに関する規定が含まれます。

労働基準法

労働基準法は、労働基準(労働条件に関する最低基準)等を定める法律です。

この法律は、就業時間、休憩、休日、賃金、解雇規制など、労働者の生活に直接影響する多くの要素を規定しています。

例えば、労働基準法は一日の労働時間を8時間、週の労働時間を40時間と定めています。

36協定

しかし、実際のビジネスの世界では、これらの時間を超えて働くことがしばしば必要となります。そこで登場するのが36サブロク協定です。

36協定は、労働者の健康を害することなく、一定の範囲内での時間外労働や休日労働を可能にするための協定で、労使間で締結し、内容を書面で行政官庁に届け出ることで効力を生じます。

36協定は、労働基準法第36条に規定されていることからこのように呼ばれています。

労働者契約法

また、労働基準法と並んで、労働契約法も労働者の権利を保護するための重要な法律です。

この法律は、労働者と雇用者の間で結ばれる労働契約の基本的なルールや権利・義務を定めた法律です。

労働契約とは、労働の内容、場所、時間、賃金などの労働条件を定めたもので、労働契約法はその締結、変更、解除についての基準を設けています。

フレックスタイム

フレックスタイムとは、あらかじめ働く時間の総量(総労働時間)を決めた上で、⽇々の出退勤時刻や働く⻑さを自由に設定できる労働時間制度のことを指します。

この制度は、労働者が自身のライフスタイルや個々の仕事の要件に合わせて、自分の働く時間を自由に設定できるようにするためのものです。

ただし、フレックスタイム制度には「コアタイム」が設けられていることが多く、これは労働者が必ず出勤しなければならない決められた時間帯を指します。

フレックスタイム制度は、労働者のワークライフバランスを改善し、生産性を向上させるために導入されることが多いです。

フレックス(flex)には「曲げること」「畳むこと」という意味があり、転じて「物事を柔軟に扱ったり行ったりするさま」「物事を臨機応変に変化させるさま」を表します。
関連語として、フレキシブル(flexible:順応性のある、融通のきく)という言葉もよく使われます。

フレックスタイムの例

フレックスタイムでは、労働者は自分の働く時間をある程度自由に設定できます。

例えば、会社が定めたコアタイムが午前10時から午後3時で、その間は必ず出勤しなければならないとした場合、その前後の時間、つまりコアタイム以外の時間は自由に設定できます。

つまり、早朝型の人は午前7時に出勤して午後4時に退社し、夜型の人は午前10時に出勤して午後7時に退社するといったことが可能です。

これにより、各人が自身の生活リズムに合わせた働き方を選択することが可能となります。

テレワーク

テレワークは、情報通信技術を活用して、自宅などオフィス以外の場所で仕事を行う働き方を指します。

テレワークは、通勤時間を削減し、働く場所の自由度を高めることができます。これは、労働者が自身のライフスタイルに合わせて働く場所を選べるようにするための制度です。

さらに、テレワークは災害時やパンデミック時にも役立ちます。このような状況下においては、オフィスに出勤すること自体が困難になる場合があるため、テレワークは事業の継続性を保つ重要な手段となります。

サテライトオフィス

サテライトオフィスは企業が本社や本部から離れた場所に設置する小規模なオフィスで、従業員は自宅と本社の間にあるサテライトオフィスで働くことが可能になります。

これにより、従業員は長時間の通勤時間を削減し、オフィスに必要な設備や資料が整った環境で働くことができるようになります。

また、サテライトオフィスはテレワークの一形態であると同時に、フレキシブルな働き方を支える物理的な環境を提供します。

裁量労働制

裁量労働制とは、実際の労働時間ではなく、あらかじめ労使間で定めた時間を働いたものとみなして賃金を支払う制度です。 労働者が自らの裁量で働く時間を決められるため、適切に運用することができれば生産性向上につながります。

簡単にいえば、仕事を時間ではなく、成果で評価する働き方と言えるでしょう。 

裁量労働制には「専門業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」の二つの形態があります。

  1. 専門業務型裁量労働制:この制度は、専門的な知識や技術を必要とする業務に従事する従業員に適用されます。研究開発やシステム開発、証券アナリストなどの19の専門的な業務が該当します。労働者は自らの裁量で業務の進行や実施方法を決めることができ、その結果に対して責任を持ちます。よって従業員は労働時間ではなく、成果に基づいて評価されます。
  2. 企画業務型裁量労働制:この制度は、企業の本社などで企画、立案、調査及び分析といった業務に従事する従業員に適用されます。従業員は自らの裁量で業務計画を立て、その実行に責任を持ちます。導入には専門業務型より厳格な手続きが必要です。こちらも労働時間ではなく、成果に基づいて評価されます。

これらの制度は、従業員の労働時間を一定ではなく、業務の内容や結果によって柔軟に設定することを可能にしています。しかし、同時に適切な管理が求められ、長時間労働の防止や健康管理に十分な配慮が必要となります。

裁量さいりょう」とは、自分自身の考えに基づいて問題を判断、決定して物事を処理することを意味します。

関連用語

ワークライフバランス

ワークライフバランスは、仕事(Work)と私生活(Life)の間のバランスを適切に保つことを指します。

この概念は、仕事の責任と個人的な生活、家族との時間、趣味、休息などをうまく組み合わせ、健康的で充実した生活を送るためのバランスを見つけることを目指しています。

ワークライフバランスを良好に保つことで、ストレスの軽減、生産性の向上、幸福感の増加が期待されます。

NDA

NDA(Non-Disclosure Agreement)は、秘密保持契約とも呼ばれ、ビジネス上の秘密情報を共有する際に、情報を受け取る側がその情報を漏洩したり、不正利用しないことを約束する契約です。

NDAは、企業同士の提携や協力、技術交流、商品開発など、情報の共有が必要な場合に締結されます。

※「ディスクロージャー:Disclosure」は「開示」「情報公開」「暴露」「口外」などの意味がある英単語です。

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