表計算 関数①

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関数

表計算ソフトの関数とは、数値やテキスト、日付などのデータに対して特定の計算やデータ操作を自動的に行うための事前定義された式です。

関数を使用することで、複雑な計算やデータ分析、データの加工といったタスクを簡単かつ迅速に実行できます。

とりわけ数学の分野でなじみの深い「関数」ですが、表計算ソフトウェアの関数も、数学の関数と同じ基本的な概念に基づいています。

数学の関数は、入力(または “引数”)を取り、それに基づいて結果(または “出力”)を生成します。

同様に、表計算ソフトウェアの関数も一つ以上の入力を取り、その入力に基づいて計算を行い、結果を返します。

表計算ソフトウェアの関数では、入力のことを引数といい、結果のことを戻り値といいます。

例えば、数学の関数 y = f(x) = 2x は、入力 x に対して 2 を乗じた値を出力します。

同じように、表計算ソフトウェアの関数 =SUM(A1:A5) は、セル A1 から A5 までの値(引数)を取り、それらの合計(戻り値)を返します。

どちらの場合も、関数は特定の計算や操作の自動化を可能にし、一貫性と効率性を確保します。しかし、表計算ソフトウェアの関数は、より複雑な操作(例えば、テキスト操作、日付と時間の操作、条件付き計算など)も含めて、多種多様なタスクを処理するように設計されています。

数学における簡単な関数の例

例えば、関数を使ってバイト代を計算する場合、入力となる労働時間(ここでは通常の労働時間Xと残業時間Y)に対して適切な報酬率を掛け算することでバイト代を算出します。

例えば、基本の労働時間の報酬率が1時間あたり1000円である場合、以下のような関数を考えることができます。

F(X)= 1000X

この関数では、X時間働いた場合のバイト代が得られます。5時間働いた場合、引数Xに5を代入すると、戻り値F(X)として5000円(= 1000 * 5)という結果が得られます。

さらに、仮にY時間の残業に対する報酬率が1時間あたり1300円であるとすれば、以下のような関数を考えることもできます。

F(X, Y) = 1000X + 1300Y

この関数では、X時間の基本労働とY時間の残業に対するバイト代が得られます。例えば、5時間基本労働と3時間残業した場合、引数Xに5、Yに3を代入すると、戻り値F(X, Y)として8900円(= 1000 * 5 + 1300 * 3)という結果が得られます。

以上のように、関数を用いて労働時間に対するバイト代を算出することが可能です。

「表計算ソフトの関数」例え話

表計算ソフトの関数を理解するために、「レストラン」を例にとって説明しましょう。

あなたが客としてレストランに来て、メニューから料理を選びます。メニューに書かれている料理名が「関数」、料理名に必要な具体的な情報(例えばステーキの焼き加減など)が「引数」に相当します。そして、あなたが注文した情報をもとに、シェフが料理を作り、テーブルに運ばれる料理が「戻り値」、つまり関数の出力値となります。

表計算ソフトの中にも、レストランのメニューのようにたくさんの「関数」があります。例えば、SUM関数は数字の合計を計算する関数で、これに数字を引数として与えると、その合計値を戻り値として出力します。AVERAGE関数は与えられた数字の平均値を計算し、COUNT関数は与えられたセルの数を数える、といった具体的な「料理」を作ります。

下のイラストは、レストランでミックスジュースを注文した際の例です。好きなフルーツ(引数)をピックアップしてオーダーすれば、好みのミックスジュース(戻り値)を得ることができます。

関数の表記方法

表計算ソフトにおける関数は通常、「=」で始まる数式の形式で書かれます。

一般的には、「=関数名(引数)」のように記述します。

たとえば、SUM関数を使用して、範囲A1からA10までのセルの合計を計算する場合、次のように書くことができます。

\( \displaystyle {}= \text{SUM(A1:A10)} \)

ここで、「SUM」は関数名であり、括弧内にはA1からA10までのセル範囲が入ります。つまり、以下のような形式です。

\( \displaystyle {}= \textbf{関数名(引数)} \)

関数が実行されると、セルの値が計算され、その結果(戻り値)が表示されます。

代表的な関数

以下に代表的な関数を挙げます。

合計(SUM)

この関数は、指定されたセル範囲内のすべての値の合計を計算します。

例えば、合計(A1:A3)はセルA1、A2、A3の値を合計します。もしA1が1、A2が2、A3が3であれば、結果は6となります。

平均(AVERAGE)

この関数は、指定されたセル範囲内の平均値を計算します。

例えば、平均(A1:A3)はセルA1、A2、A3の値の平均を計算します。もしA1が1、A2が2、A3が3であれば、結果は2となります。

最大(MAX)

この関数は、指定されたセル範囲内の最大値を返します。

例えば、最大(A1:A3)はセルA1、A2、A3の中で最大の値を返します。もしA1が1、A2が2、A3が3であれば、結果は3となります。

最小(MIN)

この関数は、指定されたセル範囲内の最小値を返します。

例えば、最小(A1:A3)はセルA1、A2、A3の中で最小の値を返します。もしA1が1、A2が2、A3が3であれば、結果は1となります。

個数(COUNTA)

この関数は、指定されたセル範囲内の空ではないセルの数をカウントします。

例えば、個数(A1:A3)はセルA1、A2、A3の中で値が入っているセルの数をカウントします。もしA1とA2が何かの値を持ち、A3が空であれば、結果は2となります。

条件付個数(COUNTIF)

この関数は、指定された条件に一致するセルの数をカウントします。

例えば、条件付個数(A1:A3, “>1”)はセルA1、A2、A3の中で値が1より大きいセルの数をカウントします。もしA1が1、A2が2、A3が3であれば、結果は2となります。

整数部(INT)

この関数は、指定された数値の整数部分を返します(厳密に言えば、指定された数値を超えない最大の整数を返えします)。

例えば、整数部(A1)はセルA1の数値の整数部分を返します。もしA1が1.7であれば、結果は1となります。

マイナスの値の場合は注意が必要です。例えば、-2.7という数値であれば、その数を超えない最大の整数なので、-2ではなく、-3という値を返します。これは、-2だとすると-2.7という値より大きくなってしまうためです。

つまり、数直線で考えると、指定された数値の位置の左側の整数を返す関数ということができます。

剰余(MOD)

この関数は、ある数値を別の数値で除算したときの余りを返します。

例えば、剰余(A1, 2)はセルA1の数値を2で除算したときの余りを計算します。もしA1が8であれば、結果は0となります(8は2で割り切れるからです)。A1が7であれば、結果は1になります。

表引き(INDEX)

この関数は、特定の行と列に位置するセルの値を返します。

例えば、表引き(B2:H18, 3, 6)は、B2からH18の範囲内の左上から数えて3行目、6列目にあるセルの値を返します。具体的な値はそのセルに何が入っているかによります。


これらの関数は、データ分析や表計算において非常に役立つツールです。一度理解してしまえば、大量のデータを効率的に処理することが可能となります。

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