半導体メモリ
半導体メモリとは、電子回路によって情報を記憶する半導体素子で構成された記憶装置のことを指します。
主にRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)として利用されます。
RAMは読み書きが可能な揮発性の記憶装置で、主記憶やキャッシュメモリなどのコンピュータの作業領域として使用されます。
一方、ROMは電源がオフでも記憶内容が保持される不揮発性の記憶装置で、初期化プログラムや基本設定などを格納するために使用されます。
RAM
RAM(Random Access Memory)には主にDRAM(Dynamic RAM)とSRAM(Static RAM)の2種類があります。
DRAM
DRAM(Dynamic RAM)はメモリセルにデータを格納するためにコンデンサ(キャパシタとも言います)を使用しています。コンデンサは、電気を一定時間蓄積できる素子で、充電されている場合には「1」、充電されていない場合には「0」という情報を表現します。
ただし、コンデンサは自然放電により時間とともに電荷を失うため、一定間隔でコンデンサに電荷を補充するリフレッシュという動作が必要になります。これが「Dynamic(動的)」の意味になります。
DRAMはSRAMに比べてメモリセル当たりのコンデンサ数が少ないことからコストが低く、大容量を実現しやすいため、一般的なパーソナルコンピュータやサーバーの主記憶として使用されます。ただし、リフレッシュのための時間が必要なため、SRAMに比べてアクセス速度が遅いです。
DRAMには以下のような種類があります。
- DDR3 SDRAM: 「DDR3 Synchronous Dynamic Random Access Memory」の略で、PCやサーバーなどで使用されるメモリの一種です。データ転送速度が高く、比較的安価であるため、広く普及しています。
- DDR4 SDRAM: 「DDR4 Synchronous Dynamic Random Access Memory」の略で、DDR3 SDRAMの後継規格です。電圧が低く、消費電力が少ないため、省電力化に貢献することができます。
SRAM
SRAM(Static RAM)はデータを保持するためにフリップフロップ回路を使用しています。
リフレッシュが不要で、DRAMよりも高速なアクセスが可能ですが、コストが高く、容量が小さいため、特定の用途で利用されることが多いです。
例えば、CPUのキャッシュメモリとして使われます。
DRAMとSRAMの比較
種類 | リフレッシュ (再書き込み) | 容量 | 容量当たりの コスト | アクセス速度 | 用途 |
---|---|---|---|---|---|
DRAM | 必要あり(動的) | 大きい | 安い | 遅い | 主記憶装置 |
SRAM | 必要なし(静的) | 小さい | 高い | 速い | キャッシュメモリ |
ROM
ROM(Read-Only Memory)は、コンピューターや電子機器において、データやプログラムを永続的に保持するための不揮発性メモリであり、電源が切れてもデータが失われない特性を持っています。
一般的なROMは、その名前が示す通り読み取り専用であり、書き込みについては製造時に一度だけ行われ、その後は書き換えることができません。
しかし、プログラマブルROM(PROM)や電気的に書き換え可能なROM(EPROM)など、一部のROMは書き換えが可能です。
EPROMは、紫外線で消去することで再度書き込みが可能になります。フラッシュメモリも一種のROMであり、電気的に書き換えることができます。
ROMにはいくつかのタイプがあり、それぞれ異なる特性と用途があります。
名称 | 特徴 |
---|---|
マスクROM | マスクROMは、製造時にデータが書き込まれ、その後変更できないタイプのROMです。高速で読み出しができるため、大量生産される電子機器などに適していますが、データの変更やアップデートができないという制約があります。 |
PROM | PROM(Programmable ROM)は、ユーザーが一度だけデータを書き込むことができるタイプのROMです。書き込みは専用のプログラマ装置を使用して行われ、データの変更はできません。 |
EPROM | EPROM(Erasable Programmable ROM)は、ユーザーがデータを書き込み、消去して再プログラムすることができるタイプのROMです。データの消去には紫外線を使用することからUV-EPROMとも呼ばれます。窓付きのパッケージが特徴的です。 |
EEPROM | EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)は、電気的にデータの書き込みと消去が可能なROMで、EPROMよりも手軽にデータを更新できます。また、寿命や書き換え回数の制限があるものの、一部の領域だけを書き換えることが可能です。 |
フラッシュメモリ | フラッシュメモリは、EEPROMの一種で、電気的にデータの書き込みと消去が可能で、ブロック単位での書き換えができます。フラッシュメモリは、高速で大容量のデータ保存が可能であり、USBメモリやSDカード、SSDなどのストレージデバイスに広く利用されています。 |
半導体メモリをまとめると以下の表のようになります。
試験に問われるのはオレンジの部分です。繰り返し学習しておきましょう。