セキュリティ関連法規③ その他の情報セキュリティ関連法規

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その他の情報セキュリティ関連法規

特定電子メール法

「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」、通称「特定電子メール法」は、不特定多数の人々に対する広告や宣伝など、営利目的で送信される電子メールを規制する法律です。

ここで、共に迷惑メールとして扱われるスパムメールとチェーンメールについて説明します。

スパムメール一般的に不要かつ無差別に送信される電子メールです。これらはしばしば広告、詐欺、マルウェアの拡散を目的としています。

スパムメールの特徴は、大量に送信され、受信者にとって無関係かつ不要な内容を含むことです。これらのメールは、誤解を招く見出しを使って受信者をだますことがあり、時には個人情報を不正に収集するために設計されていることもあります。

例としては、不要な広告メールや詐欺を促すメール、ウイルスが含まれたメールなどがあります。
チェーンメール受信者に対して同じメッセージを他の人々に転送するよう促すメールです。

これらのメールには、しばしば「このメールを10人に転送しないと不幸が訪れる」などの煽るような文言が含まれています。結果、無差別に大量に送信されることが多く、ネットワークやサーバに、無駄な負荷をかけます。

チェーンメールの性質は様々で、無害なジョークから、ウイルスの拡散や個人情報の収集を目的としたものまであります。これらのメールはしばしば迷信や脅迫を含むため、受信者に不安を与えることがあります。

この法律の対象となる特定電子メールとは、広告を含んだスパムメールなど、広告宣伝のために送信される電子メール(広告宣伝メール)のことを指します。

ここで、特定電子メールの送信を防止するための重要な概念が「オプトイン」です。

オプトインとは、メールの送信者が受信者から事前にメール受信の同意(Opt-in)を得ることを指します。
※一方で、ユーザーに許可を取ることなく広告宣伝メールを送りつけること、または、広告宣伝メールの受け取りをユーザーが拒否する意思を示すことをオプトアウト(Opt-out)と言います。

この法律は、原則として広告メールを送信する際には、①受信者からの事前の同意(オプトイン)および②その同意の記録の保管が必要であると定めています。

また、この法律では、送信者がメール本文に以下の表示義務を負うことを求めています。

  1. 送信者などの氏名又は名称を表示すること。
  2. 受信拒否の通知先(電子メールアドレス又はURL)の直前又は直後に、受信拒否の通知ができる旨を表示すること。
  3. 受信拒否の通知を受けるための電子メールアドレス又はURLを表示すること。
  4. 任意の場所に、送信者などの住所を表示すること。
  5. 任意の場所に、苦情・問合せなどを受け付けることができる電話番号、電子メールアドレス又はURLを表示すること。

以下が、その例です。

広告宣伝メールの表示義務 ※総務省資料より

また、メール送信者が偽の送信元アドレスを表示したり、送信元アドレスを隠す行為も禁止されています。

「opt:オプト」は「選ぶ」「選択する」という意味の英単語です。
「opt in」には「許諾する」「参加する」という意味が、「opt out」には「脱退する」「身を引く」という意味があります。

ウイルス作成罪

「不正指令電磁的記録に関する罪」、通称「ウイルス作成罪」は、2011年の刑法改正で新しく設けられた法律で、コンピュータウイルスを作成、提供、供用、取得、保管する行為を犯罪とする法律です。

この法律により、①正当な理由がなく②無断で他人のコンピューターにウイルスを実行させる目的で以下の行為をした場合、刑事罰の対象となります。

  • コンピュータウイルスを作ったり提供したりした場合:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が課せられます。
  • コンピュータウイルスを供用した場合(ウイルスを実行できる状態にした場合):3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が課せられます。
  • コンピュータウイルスを取得したり保管したりした場合:2年以下の懲役又は30万円以下の罰金が課せられます。
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