経営・組織論①

目次

企業活動

企業活動の目的は、利益を最大化し、株主価値を向上させることであり、同時に企業の成長と発展を促進し、持続可能な社会に貢献することです。

これを実現するための基本的な考え方は、顧客満足を追求し、革新や技術開発に取り組むこと、また、経営を効率的に行い、人材の育成や活用に力を入れ、さらに社会貢献にも目を向けることが重要です。

経営理念

経営理念は、企業の存在意義や根底にある信念を表すもので、企業がどのような価値観を持ち、何を大切にし、そして何を目指しているのかを内外に示す基本的な指針です。

企業の基本姿勢や社会に対する貢献が表現され、組織の行動指針として機能します。

「理念」とは、「ある物事についての、こうあるべきだという根本の考え方」「事業・計画などの根底にある根本的な考え方」を意味します。

経営理念を実現するために、経営ビジョン・経営戦略・経営計画を策定します。

経営ビジョン経営理念をもとに、中長期的な未来の姿や目指すべきゴールを設定します。これは企業がどのような状態になりたいのか、何を成し遂げたいのかを明示するものです。
経営戦略経営ビジョンを実現するための具体的な方向性やアプローチを定義します。市場環境や競合状況を考慮し、どのようにリソースを配分し、どの分野に焦点を当てるかなどの大きな方針を設定します。
経営計画経営戦略をもとに、短期的な具体的な行動計画や目標を立てます。予算や人員配置、期限など、詳細な実行計画が盛り込まれます。

このように、経営理念から経営計画へと進展する過程で、抽象的な指針や価値観が徐々に具体的な行動や計画へと落とし込まれていきます。

経営資源

経営資源とは、企業が経営活動を行うために利用するさまざまな要素のことです。

これには、人的資源(従業員や経営陣の知識やスキル)、物的資源(設備、機器、建物など)、財務資源(資金や投資)、情報資源(市場情報や技術情報)、知的資産(特許やノウハウ)などが含まれ、「ヒト・モノ・カネ・情報」とまとめて呼ばれることがあります。

これらの資源は、企業が競争力を維持・向上させるために重要であり、効果的な経営資源の活用が企業の成長につながります。

株式会社

株式会社は、株式を発行して資本を調達する企業形態の一つで、株主が所有している株式の割合に応じて所有権や利益(配当)が分配されます。

株主は企業活動には直接参加しませんが、企業のオーナーであり、企業の重要な意思決定に関与できる権利があります。

株主総会は、企業の最高意思決定機関であり、株主が集まり経営陣の選任や報酬、配当方針などの重要事項について議決する場です。このような仕組みを通じて、株主は企業の経営に影響を与えることができます。

例え話「株式会社」

ある村に、美味しい果物を生産する農場がありました。その果物は村人たちに人気があり、農場のオーナーは農場をますます大きくしたいと考えていました。しかし、オーナーは資金が足りず、拡大することができませんでした。

そこでオーナーは、村人たちに「農場の一部を持って、一緒に成長しませんか?」と提案しました。興味を持った村人たちは、農場の一部(株式)を購入して、資金を提供しました。そして、それぞれの村人が持っている株式の割合に応じて、農場の利益が分配されることになりました。

農場は順調に成長し、村人たちの助けを借りて、新しい機械を導入したり、広い土地を手に入れることができました。そして、一年に一度、農場のオーナーと村人たちが集まる大切な日がありました。それが「株主総会」です。この会合では、村人たち(株主)が農場の経営方針や、オーナーと村人たちの利益分配について話し合い、決定をしていきました。

この例え話の農場が株式会社に相当します。農場のオーナーは経営者であり、村人たちが株主であることを示しています。株主は、株式会社の一部を所有し、利益分配や経営方針に関与することができます。

企業の社会的責任

企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)は、企業が経済的利益だけでなく、環境や社会に対する責任を認識し、持続可能な社会の実現に貢献する取り組みです。

企業は、自らのビジネス活動を通じて地域社会や環境に与える影響についてアカウンタビリティ(説明責任)を持ち、利害関係者との対話や協力を通じて、社会的課題の解決に努めるべきです。

CSR活動は、環境保護や人権問題、労働条件の改善、地域貢献など多岐にわたります。

これらの取り組みは、企業のブランドイメージや信頼性を向上させ、長期的な競争力の向上につながります。また、アカウンタビリティを重視することで、企業はステークホルダーからの信頼を得られるだけでなく、問題が発生した際のリスクも軽減されます。

アカウンタビリティ

アカウンタビリティ(説明責任は、個人や組織が自らの行動や決定に対して責任を持ち、その結果について説明を提供する義務のことです。

これには、透明性の確保、適切な報告、そして必要に応じた説明や責任の取り方が含まれます。アカウンタビリティを持つことは、信頼性と信用の確立に不可欠であり、責任ある行動を促進します。

グリーンIT

グリーンITとは、情報技術(IT)を環境にやさしい形で活用し、省エネルギーやリソース節約、温室効果ガスの削減など環境問題に対処する取り組みのことです。

これには、省エネ型のコンピューターやデータセンターの設計、電子化によるペーパーレス化、リモートワークの推進などが含まれます。

ESG投資

ESG投資とは、投資先企業を選出するに当たり、企業の「環境(Environment)」、「社会(Social)」、「企業統治(Governance)」の取り組みを評価し、その成果に基づいて投資判断を行う投資手法です。

つまり、単に利益を追求するだけでなく、

  • どれだけ環境に優しい経営を行っているか
  • どれだけ社会への貢献があるか
  • どれだけ適切な運営がおこなわれているか

といった点を基準に投資先を評価します。

投資家は、ESG要素を考慮することで企業の長期的な持続可能性を評価し、リスクの低減やリターンの向上を目指します。

ソーシャルビジネス

ソーシャルビジネスとは、社会課題の解決を目的としたビジネス活動であり、利益追求だけでなく、社会貢献を重視します。

例えば、貧困や教育、医療などの分野での問題解決を目指す企業が、そのような課題に対する製品やサービスを提供することがソーシャルビジネスの一例となります。

この取り組みは、企業の社会的責任を果たすだけでなく、新たな市場や顧客を獲得する機会を生み出すことが期待されます。

監査

監査は、企業の業務や会計処理が適切かどうかを評価・検証するプロセスです。監査は主に内部監査と外部監査に分類されます。

内部監査は、企業内部の監査部門が行う監査活動で、企業の業務や統制が適切に機能しているかを確認し、リスク管理や業務改善の提案を行います。

外部監査は、その企業とは関係のない独立した第三者による監査の制度のことです。外部監査は、企業の情報の信頼性を高め、株主や投資家などステークホルダに対する透明性を確保します。

監査の種類

また、監査はその対象によって会計監査、業務監査、情報セキュリティ監査、システム監査などに分類されます。

会計監査日常の各種取引の発生から決算報告書への集計に至るまで、不正や誤りのない処理が行われていることを確認します。通常、独立した外部監査人(会計監査人)によって行われます。
業務監査組織の製造、販売などの諸業務が、組織の方針に従って合理的かつ効率的に運用されているかどうかを確認します。
情報セキュリティ監査情報セキュリティに関わるリスクのマネジメントが効果的に実施されるように、リスクアセスメントに基づく適切なコントロールの整備、運用状況を評価します。
システム監査システム監査は、組織の情報システムの管理、操作、効果性、セキュリティを評価するプロセスです。
情報システムに関わるリスクに対するコントロールが、リスクアセスメントに基づいて適切に整備・運用されているかを、監査対象から独立した第三者(システム監査人)が評価します。
会計監査人

会計監査人は、企業が作成した計算書類(損益計算書や貸借対照表)などを会計監査する機関・職務です。会計監査人には、公認会計士または監査法人のみが就任することが出来ます。

会社法で会計監査人の設置が義務付けられているのは、以下の条件に該当する会社です。

  • 会社法上の大会社
  • 指名委員会等設置会社及び監査等委員会設置会社

ただし、上記以外の会社でも任意で監査を受けることができます。

分かりやすく言えば、会計監査人は企業の「財務健診医」のような存在と言えるでしょう。

関連用語

ステークホルダ

ステークホルダとは、企業の活動に関心を持ち、その結果に影響を受ける様々な関係者のことを指します。ステークホルダは、企業と直接的な取引関係がある人や組織だけでなく、間接的に影響を受ける人や組織も含まれます。

主なステークホルダには、株主や従業員、顧客、取引先企業、地域社会や政府などがあります。

企業は、ステークホルダの期待やニーズに応えることが重要であり、そのためにはコミュニケーションが不可欠です。企業は、ステークホルダとの対話やフィードバックを通じて、自社のビジネス活動が持続可能であることを示すとともに、社会的責任を果たすことが求められます。このような取り組みは、企業の評判や競争力を高めるだけでなく、事業の成長やイノベーションにも寄与します。

※英語の「stake(掛け金)」「holder(保有者)」が語源とされ、1984年に哲学者のR.エドワード・フリーマンが著書「Strategic Management: A Stakeholder Approach」の中で初めて提唱しました。これがビジネス用語として広く浸透するきっかけになったといわれています。

ステークホルダの例
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