情報に関する理論① 情報量の単位

目次

情報量の単位

最小の単位「ビット」

ビット(bit)は、コンピュータにおいて情報の最小単位であり、2進数で表される0または1の値を持ちます。

そしてビットの0と1の値はコンピュータ内部の回路では、電気信号のオンとオフの状態に対応します。つまり、ビットの情報は電気信号の状態によって表現されます。

例えば「0001」という4桁のビット列は、1桁目がオンで他はオフという情報を表します。このように、コンピュータはビット列として情報を持ち、それを演算することで複雑な処理を行います。

「ビット」を8つ束ねた「バイト」

コンピュータのデータのサイズは通常、バイト(byte)という単位で表されます。

これはビットが8つ集まったものであり、1バイトは0から255までの256通りの異なる値を表現できます。

例えば、1つの文字(半角文字)は通常1バイトのメモリを使用し、1つの画像ファイルは複数のバイトで構成されます。

つまりコンピュータは、膨大な数のビットを組み合わせて、文字、画像、音声、動画などのデータを記憶し、処理しているのです。

bitの例え話

コンピュータにおける「bit」は、すべての物質の基本的な構成要素である原子のように、コンピュータの情報を構成する最も基本的な単位と考えることができます。

原子がさまざまな元素を組み合わせて物質を形成するように、bit(ビット)は「0」と「1」の2つの状態を取り、これらを組み合わせることで、テキスト、画像、音声などあらゆる種類のデータを表現・処理することができます。

つまり、原子が物質世界で無限の可能性を秘めた基礎的なブロックであるように、bitはデジタル世界において無限の情報を作り出すための基礎的なブロックと言えます。

原子が集まって分子を作り、さらには多様な物質を形成する過程と同様に、ビットは集まってバイト(8ビット)を形成し、複雑なデータや命令セットに組み上げられていきます。

表現可能な情報量

ビットで表現可能な情報量は、2のn乗(nはビット数)によって求められます。

たとえば、
1ビットは0または1の2通り(21=2)
2ビットは00、01、10、11の4通り(22=4)
3ビットは000、001、010、011、100、101、110、111の8通り(23=8)
となります。

一般に、nビットで表現可能な情報量は2のn乗通りとなります。すなわち8ビットを集めた1バイトは2の8乗で28=256の異なる値を表現できます。

情報量につく接頭語

コンピュータが扱う情報量は膨大であり、大きな桁数の数字を扱う必要があります。そのため、ビット数が増えるごとに、接頭語を用いて桁数を表します。

メガは10の6乗、ギガは10の9乗、テラは10の12乗、ペタは10の15乗を表します。このような接頭語を用いることで、大きな情報量をより簡単に表現することができます。

これは接頭語を仮に使わなかった場合を考えれば、その便利さが分かります。

例えば数字で表す場合、
10Mバイトであれば、10,000,000バイト(1千万バイト)になり、
5Gバイトであれば、50,000,000,000バイト(50億バイト)と表現しなければなりません。

数が大きくなると、桁数が正しいかどうか数える必要も出てくるので、非常に不便ですね。

接頭辞を使用する例
  1. データの量:ファイルの大きさを表現する際、バイト単位だと数値が非常に大きくなるため、メガバイト(MB)、ギガバイト(GB)、テラバイト(TB)などを用いると便利です。例えば、1GBのファイルは、約1,000,000,000バイトとなりますが、このように大きな数を直接扱うよりも、「1GB」と表現する方が理解しやすく、視覚的にもわかりやすいです。
  2. 通信速度:インターネットの通信速度を表す際にも、メガビット/秒(Mbps)、ギガビット/秒(Gbps)などが使われます。例えば、100Mbpsの通信速度は、毎秒100,000,000ビットのデータを送受信できるという意味です。ここでも、大きな数を直接扱うより、「100Mbps」と表現する方がわかりやすいです。
  3. ストレージ容量:コンピュータのハードドライブやSSD、外部ストレージの容量を表す際には、ギガバイト(GB)やテラバイト(TB)が一般的に使われます。例えば、「1TBのハードドライブ」は、約1,000,000,000,000バイトのデータを保存できるということを意味します。

以上のように、メガ、ギガ、テラなどの接頭辞を使うことで、大きな数を扱いやすくなり、データ量や速度、容量を瞬時に理解することが可能になります。

大きな数を表す接頭語

大きな数を表す接頭語k(キロ)・M(メガ)・G(ギガ)・T(テラ)・P(ペタ)などがあります。

接頭語数字意味
k(キロ)103一般には千を意味します。物理学や工学では、波長、距離、速度などを表すのに使われます(例:1 km = 1000 m)。

コンピュータ科学では、メモリやストレージの大きさを表すのに使われ、
2の10乗(1024)を意味します。
M(メガ)106百万を意味します。物理学や工学では、電磁波の周波数(例:FMラジオはMegahertz (MHz))、データ転送速度(Mbps: Megabits per second)などを表すのに使われます。

コンピュータ科学では、メモリやストレージの大きさを表すのに使われ、2の20乗(1,048,576)を意味します。
G(ギガ)109十億を意味します。物理学や工学では、電磁波の周波数(例:WiFiの周波数は2.4GHzまたは5GHz)、データ転送速度(Gbps: Gigabits per second)などを表すのに使われます。

コンピュータ科学では、メモリやストレージの大きさを表すのに使われ、2の30乗(1,073,741,824)を意味します。
T(テラ)1012兆を意味します。物理学や工学では、より高いデータ転送速度(Tbps: Terabits per second)や、より大きなストレージ容量(TB: Terabytes)を表すのに使われます。

コンピュータ科学では、2の40乗(1,099,511,627,776)を意味します。
P(ペタ)1015千兆を意味します。物理学や工学では、非常に大きなストレージ容量(PB: Petabytes)や、高速なデータ転送速度(Pbps: Petabits per second)を表すのに使われます。

コンピュータ科学では、2の50乗(1,125,899,906,842,624)を意味します。
大きな数を表す接頭語とその意味
接頭辞が表す桁数

接頭語は通常3桁ごとに区切られているため、一般に4桁の数を表現することはありません。たとえば、5000MBというような表現はせず、5GBと表現します。
※厳密には1024=210で接頭語が変わります。つまり、1024MB=1GB、5120MB=5GBです。

この3桁ごとの区切りは、主に欧米の慣習に基づいています。

欧米人にとってはk(キロ)がthousand、M(メガ)がmillion、G(ギガ)がbillionに相当するため、区切りが一致し直感的に理解しやすいです。

一方、日本人は「万」「億」「兆」という単位が示すように4桁ごとに数を区切るのが一般的なので、この欧米の接頭語の方式とはズレが生じ、やや不便に感じることがあります。

※3桁区切りの接頭語と日本の「万」「億」「兆」などの単位は1012(1テラと1兆)のレベルで一致します。これは3と4の最小公倍数の12桁目に当たるためです。

小さな数を表す接頭語

小さな数を表す接頭語には、m(ミリ)・μ(マイクロ)・n(ナノ)・p(ピコ)などがあります。

接頭語数字意味
m(ミリ)10-3m(ミリ)は「千分の一」を意味し、主に長さの単位として使われます。例えばミリメートル(millimeter, mm)は1メートルの千分の一の長さを示します。これは工業製品の寸法、雨量(ミリメートル/時間)などを測定するために広く使用されています。
μ(マイクロ)10-6μ(マイクロ)は「百万分の一」を意味します。例えば、マイクロ秒(microsecond, μs)は1秒の百万分の一の時間を示し、電子工学や通信工学での信号の遅延時間などを測定するのに用いられます。また、マイクロメートル(micrometer, μm)は光学や生物学で細胞やバクテリアの大きさを表すためによく使用されます。
n(ナノ)10-9n(ナノ)は「10億分の一」を意味し、化学や物理学、生物学、電子工学などでよく使われます。例えば、ナノメートル(nanometer, nm)は光の波長(色)や半導体デバイスの特性を表すために用いられます。また、ナノ秒(nanosecond, ns)はコンピュータのクロック速度やデータ転送速度を表すのに使われます。
p(ピコ)10-15p(ピコ)は「1兆分の一」を表し、主に電子工学や物理学で使われます。例えば、ピコ秒(picosecond, ps)はレーザーのパルス幅や光通信の伝送時間を測定するために使われます。また、ピコファラド(picofarad, pF)は電子部品の容量を表すのに用いられます。これらの接頭辞は、非常に小さな量を簡潔に表現するために重要なツールです。
小さな数を表す接頭語とその意味
対応させて覚えよう!
接頭語数字
k(キロ)103
M(メガ)106
G(ギガ)109
T(テラ)1012
P(ペタ)1015
大きな数を表す接頭語
接頭語数字
m(ミリ)10-3
μ(マイクロ)10-6
n(ナノ)10-9
p(ピコ)10-12
f(フェムト)10-15
小さな数を表す接頭語
目次